
こんにちはー!もなでーす!!
今回紹介する銘柄は東証1部上場企業のアステナホールディングス(8095)です!

※株式投資は必ず個人の自己責任の下で行なってください.当ブログで得た情報により読者の皆様が被った不利益に対して,当管理者は一切の責任を負いません.
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また銘柄分析にはこちらの動画を参考にしつつ,自分なりの基準も追加して判断しています.
どんな会社? 2021/12/15時点
会社概要
決算 | 11月 |
---|---|
設立 | 1941.9 |
上場 | 1963.7 |
特色 | 医薬品等卸から後発薬や表面処理薬品の製造、医薬研究開発等に事業多角化、M&Aも積極化 |
連結事業 | ファインケミカル33(5)、医薬16(9)、HBC・食品40(-2)、化学品11(4) <20・11> |
業種名 | 卸売業 |
本社 | 220-6218横浜市西区みなとみらい2-3-5 |
従業員 | <21.5>連1,353名 単120名(44.3歳)[年]516万円 |
株式 | 10/31 40,630千株 単位100株 [貸借][優待] 時価総額 225億円 |
東経業種別時価総額順位 | ヘルスケア製品・サービス 時価総額順位 62/130社 |
アステナホールディングス(8095)は医薬品原料・ファインケミカル商社,(旧)イワキ.ファインケミカル(医薬品原料、医薬品、製造受託),HBC・食品(化粧品原料,機能性食品原料),化学品(工業用薬品、化成品),医薬(医薬品)の各事業.主力はジェネリック医薬品市場向け医薬品原料(国内約300社の原料と海外約40社からの輸入原料)の医薬品メーカー向け供給.子会社の岩城製薬は医薬品原料・ジェネリック医薬品の製造,皮膚領域薬品(皮膚炎治療薬)を開発.子会社メルテックスは電子工業用薬品(中性すずめっき薬品は世界トップ)を製造.2019年子会社メルテックスは日立化成(現昭和電工マテリアルズ)からプリント配線板用薬品事業を譲受.2020年武州製薬からスペラファーマ(製剤開発)を買収(60億円),前田薬品工業に資本参加,マジェスティゴルフ子会社のマルマンH&B(健康食品)を子会社化.2021年6月持株会社体制(イワキから商号変更).
〇〇ホールティングスとは持株会社のことで,複数の株式会社を子会社として傘下に持っている親会社を指します.親会社はグループ全体の経営,子会社は個々の事業と役割を明確に分けることで,組織としての成長効率を上げる狙いがあります.
取扱商品
- ファインケミカル(医療用医薬品の研究開発,治験原薬・治験薬製造,ジェネリック医薬品/商用原薬製造,受託製造,調達プラットフォーム)
- 医薬品原料(解熱鎮痛消炎剤,血管収縮剤),医療用医薬品(ジェネリック医薬品),医薬品(ビタミンC剤,うがい薬,ジェネリック皮膚外用剤)
- HBC・食品(一般用医薬品,機能性食品,輸入化粧品,食品原料,機能性食品原料,化粧品原料)
- 化学品(表面処理薬品,プリント配線板用薬品,電子部品用薬品,一般めっき用薬品,半導体用薬品)
大株主の属性とその構成比
株主名 | 持株数(万株)・持株比率(%) |
---|---|
日本マスター信託口 | 267(6.9) |
(株)ケーアイ社 | 205(5.3) |
日本カストディ信託口 | 197(5.1) |
(株)CNV社 | 172(4.4) |
三菱UFJ銀行 | 118(3.0) |
岩城修 | 97(2.5) |
自社従業員持株会 | 93(2.4) |
大阪ソーダ | 65(1.7) |
江本晋 | 65(1.6) |
日本マスタートラスト(役員報酬BIP76082口) | 63(1.6) |
持株数では日本マスター信託口がトップです.日本2大信託銀行の一角ですね.
(株)ケーアイ社および(株)CNV社は岩城慶太郎氏(アステナHD社長)が代表取締役を務める会社です.それぞれ不動産賃貸業と有価証券の保有・運用を行う会社のようです.
大阪ソーダとアステナHDの関係性は調べた範囲では不明でした.
大株主として創業家やそれに関連する企業,自社従業員持株会がランクインしており安定した配当が期待できそうです.
会社業績に関して
売上高

- 「会社がサービスや商品を提供することにより得た売上金額の総額」
- 2021年11月期までは右肩上がりであったが,2022年11月期に大幅減少の予想
2022年11月期の売上高減少の原因として,次のような説明がありました.

会計上の基準が改定され,数字上大きく減少したように見えるとのことです.
1株あたりの当期純利益(EPS)

- 「株主が投資した株式1株あたり会社がどれだけ利益を生み出しているか」
- 2015年11月期にマイナスに転じている
- 直近3期は連続して減少
売上高の大幅な減少の原因となった会計基準の改定は,営業利益には影響しないとのことです.
営業利益率

- 「売上高に対し,本業の業績によってどれだけ利益を生み出しているか」
- 上昇傾向だが営業利益率3%前後とまだまだ低水準
- 医薬品卸売業界全体では10社中2位(2021年度)と上位ランクイン
自己資本利益率(ROE)

- 「株主が投資した資金から会社がどれだけ効率良く利益を生み出しているか」
- 目安の10%を下回って低下傾向であり懸念材料
財務状況に関して
自己資本比率

- 「企業の総資産に対して,返済の必要のない自己資本がどれくらいあるか」
有利子負債比率

- 「自己資本に対して,利息を支払う必要がある負債がどれくらいあるか」
- 自己資本比率は40%前後
- 有利子負債比率は約50%と高め
- ネットD/Eレシオは15.3%(2021年3月期)と健全
D/Eレシオとは,単に有利子負債比率を%ではなく倍率で表したもの.これをさらに厳密にしたのがネットD/Eレシオであり,有利子負債から現預金を引いたものを自己資本で割ったパーセンテージで表します.
例えば有利子負債が100億円あったとしても,現預金が100億円あればすぐに返済できるため,財務的には実質無借金と判断できます.
つまりネットD/Eレシオが低ければ低いほど,さらにマイナスであれば,それだけ財務健全性が高いと言えます.
キャッシュフローに関して

青:営業活動によるCF「営業活動で入ってきた現金から最終的に残った資金」
赤:フリーCF「負債の返済や株主配当,設備投資など会社が自由に使える資金」
橙:設備投資「会社が成長し続けるために必要な設備に対する投資」
緑:現金等「いざという時の事業拡大や不景気時のための資金」
- 営業活動によるCFは毎年きっちり黒字
- ネットキャッシュは△42億,ネットキャッシュ比率は△6.7%(2021年3月期)
ネットキャッシュとは,現預金と短期保有の有価証券の合計から有利子負債を引いたもの.実質的な手元資金であり企業の金持ち度合いを表します.ネットキャッシュが多い企業は株主還元を増やせる余地が大きいと考えられます.
また一般的にネットキャッシュを総資産で割ったネットキャッシュ比率が60%を超える企業をキャッシュリッチ企業と呼んでいます.
配当に関して
配当政策
配当政策に関しては2020年11月期の有価証券報告書に次のような記載があります.
当社は事業の成長と企業価値の向上に努めていくと共に、株主価値を考慮した資本政策等を勘案し、株主の皆様への利益還元の充実を図るため、安定的でありかつ業績連動性を持たせた「純資産配当率(DOE)1.5%を下限とし、配当性向30%を目途」とする配当方針を基本方針としております。
当社は、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを基本方針としております。
これらの剰余金の配当の決定機関は、期末配当については株主総会、中間配当については取締役会であります。
当事業年度の配当につきましては、上記方針に基づき当期は1株当た16円の配当(うち中間配当7円)を実施することを決定しました。
次期の配当につきましては、1株当た年間18円を予定しております。
内部留保金につきましては、財務体質の強化に加え、既存事業の更なる効率化に向けた投資、戦略的新規事業への投資等に活用することで、今後の事業発展を図るとともに積極的な営業活動を展開して収益向上を図り、安定配当を維持する資金として有効に活用してまいりたいと存じます。
また、当社は、「取締役会の決議によ、毎年5月31日を基準日として、中間配当を行うことができる。」旨を定款に定めております。
アステナホールディングスHP- 有価証券報告書- 有価証券報告書ー第81期より
目標とする配当性向を具体的に示していますが,配当としてもう少し株主還元してほしい気がします.
またDOEは配当性向×ROEで計算される値で,株主が投資した資金に対してどのくらい配当を還元しているかを表した指標です.
業界ごとに異なりますが一般的に2%が目安と言われています.
最近のROEの低下傾向を考えても,DOEの下限1.5%は無理のない水準かなと思います.
権利確定日 2022年現在
権利付き最終日
この日までに株を購入(約定)すれば,配当金を貰う権利を取得できます.
中間配当金 | 2022年05月27日 |
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期末配当金 | 2022年11月28日 |
権利落ち日
この日以降に株を売却しても,配当金を貰う権利は取得したままです.
中間配当金 | 2022年05月30日 |
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期末配当金 | 2022年11月29日 |
権利確定日
この日に株を保有していれば,配当金を貰う権利を取得できます.
中間配当金 | 2022年05月31日 |
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期末配当金 | 2022年11月30日 |
一株配当

- 「株式1株あたりに支払われる配当金額」
- 長く6〜7円で横ばいだったが,ここ5年間は一貫して増配
- 2022年11月期の予想配当は18円と維持
配当利回り

- 「株価に対して,どれだけ配当を受けることができるか」
- 毎年の増配に伴い配当利回り4%近くまで上昇
配当性向

- 「会社が生み出した利益に対して,配当金がどれだけ支払われたか」
- 配当性向40%台と適切な水準
配当性向に関しては以下の記事が参考になると思います.

PER・PBR
PER

- 「企業の利益水準に対して現在の株価が割高か割安か」
PBR

- 「現在の株価が企業の資産価値に対して割高か割安か」
2022年1月17日現在でPER 12.21倍,PBR 2.73倍,ミックス係数は33.33です.
指標の数値としてはかなり高めですが,過去3年間この水準で安定して推移していそうです.
株主優待
優待の内容 | 自社グループ商品等 |
---|---|
権利確定時 | 11月 |
優待利回り | – |
投資は株主優待目当てではないので優待利回りに関わる部分のみ載せておきます.
詳細はこちらを参照してください.
自社グループ商品を売りたい気持ちが前面に出ていますが,そもそも株主優待を出すくらいならその分を配当金に回して欲しい…
総合評価
2021年3月期 | 値 | 目安 | 推移 |
売上高 | 72,322百万円 | – | ↗︎ |
EPS | 46.84円 | – | → |
営業利益率 | 3.09% | 10%以上 | ↗︎ |
ROE | 6.43% | 10%以上 | → |
自己資本比率 | 42.5% | 40%以上 | → |
有利子負債比率 | 55.06% | 100%以下 | ↗︎ |
ネットD/Eレシオ | 15.3% | 低いほど○ | ↗︎ |
ネットキャッシュ比率(ネットキャッシュ) | 6.68%(△4,246百万円) | 60%以上 | ↘︎ |
営業CF | 1,349百万円 | – | + |
一株配当 | 18円 | – | ↗︎ |
配当性向 | 37.57% | 40%前後 | → |
ここまでアステナホールディングス(8095)の銘柄分析をしてきましたが,ここで私の見解をポイントの形でまとめてみます.
- ネットキャッシュはマイナスで財務状況はあまり良くない
- 売上高やEPSは減少傾向
- ホールディングス化により経営効率のさらなる改善を狙う
- 中期経営計画の希望的観測は実現できるか
これを踏まえて独断と偏見でアステナホールディングス(8095)を項目ごとに5段階評価してみます.
評価 | |
会社業績 | |
財務状況 | |
キャッシュフロー | |
配当 |
過去15年間の株価の値動き

アステナホールディングス(8095)の株価と日経平均株価を比較したチャートです.
「株価のチャート分析はおまじない」であり投資にあたり必要ないと思っています.チャート分析よりは企業分析の方がはるかに重要です.
ただ一時的な高騰時に高値つかみしないようにだけ注意しましょう.
まとめ
投資の世界には「卵は1つのカゴに盛るな」という格言があります.
高配当株投資では景気に左右されないように,セクターを分散したポートフォリオを組むことが重要です.
卸売業セクターで銘柄をお探しの方はアステナホールディングス(8095)への投資を検討してみてください!
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