
こんにちはー!もなでーす!!
今回紹介する銘柄は東証1部上場企業の日本軽金属ホールディングス(5703)です!

※株式投資は必ず個人の自己責任の下で行なってください.当ブログで得た情報により読者の皆様が被った不利益に対して,当管理者は一切の責任を負いません.
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また銘柄分析にはこちらの動画を参考にしつつ,自分なりの基準も追加して判断しています.
どんな会社? 2021/12/15時点
会社概要
決算 | 3月 |
---|---|
設立 | 2012.10 |
上場 | 2012.10 |
特色 | 圧延、加工、化成品までのアルミ総合メーカー。アジア展開急ぐ。14年国内最後の製錬工場閉鎖 |
連結事業 | アルミナ・化成品・地金21(8)、板・押出製品23(5)、加工製品・関連事業36(5)、箔・粉末製品20(4)【海外】19 <21・3> |
業種名 | 非鉄金属 |
本社 | 105-8681東京都港区新橋1-1-13アーバンネット内幸町ビル |
従業員 | <21.9>連12,395名 子2,004名(‥歳)[年]‥万円 |
株式 | 10/31 61,993千株 単位100株 [貸借][優待] 時価総額 1,092億円 |
東経業種別時価総額順位 | 非鉄金属・金属製品 時価総額順位 6/32社 |
マネックス証券「銘柄スカウター」から引用します.
日本軽金属ホールディングス(5703)はアルミニウム総合メーカー.アルミナ・化成品&地金(アルミナ,水酸化アルミニウム,化学品,高純度アルミニウム,アルミニウム合金),板&押出製品,加工製品&関連,箔&粉末製品の製造・販売.アルミニウムの一貫生産メーカーの日本軽金属,箔・粉末製品の東洋アルミニウム,輸送用機器の日本フルハーフ(いすゞ自動車との合弁会社)を子会社,玉井商船<9127>を持分法適用会社に持つ.新幹線ボディや自動車部品向けアルミは業界トップシェア,板材・二次合金地金・セラミックス材料・OA機器部材・トラック架装など素材から最終製品までを生産.自動車用アルミ電線,リチウムイオン電池正極材・負極材,電極箔,バッテリー冷却プレートなど新商品に注力.2010年新日軽を住生活グループ(LIXIL)に譲渡(建材事業から撤退).2012年持株会社化.2014年アルミニウム電解事業から撤退.2020年住軽日軽エンジニアリング(UACJとの合弁会社,現日軽エンジニアリング)を子会社化.
〇〇ホールティングスとは持株会社のことで,複数の株式会社を子会社として傘下に持っている親会社を指します.親会社はグループ全体の経営,子会社は個々の事業と役割を明確に分けることで,組織としての成長効率を上げる狙いがあります.
取扱商品
- アルミナ・化成品&地金(セラミック用アルミナ,耐摩耗性アルミ合金,サファイア基板用高純度アルミナ,光輝性アルマイトダイカスト合金,塩化アルミニウム6水和物,工業用酸化剤)
- 板&押出製品(サンルーフガイドレール用部材,サスペンション部品,アルマイト板材,高導電性板材・部品、給水コンテナ,耐震デバイス,アルミ製内装材,防護壁)
- 加工製品&関連(自動車用アルミ電線,アルミ荒引線・伸線,ブレーキキャリパボディ,アルミ電解コンデンサー,アルカリ回収装置,耐震天井)
- 箔&粉末製品(メタリック顔料アルペースト,ICカード用エッチング回路箔,粉末積層箔,ポリゴンミラー・感光体ドラム,高純度窒化アルミニウム粉末,太陽電池モジュール)
日本軽金属ホールディングス(5703)について調査していたところ,このような記事を見つけました.

この記事には日本軽金属ホールディングス(5703)に関する不祥事が掲載されていました.
- JIS規格に関する試験や表記に関する不正(2021年5月以降3件)
- 2019年の台風により日本軽金属が保有する雨畑ダムの周辺地域に浸水被害
- 雨畑ダムの堆砂が注ぎ込んだ駿河湾におけるサクラエビ不漁問題
- 日本軽金属が出資するニッケイ工業による高分子凝集剤入り汚泥の不法投棄
雨畑ダムの土砂除去のため2020年3月期に110億円,2021年3月期に162億円の特別損失を計上しています.
大株主の属性とその構成比
株主名 | 持株数(万株)・持株比率(%) |
---|---|
日本マスター信託口 | 1,015(16.3) |
日本カストディ信託口 | 445(7.1) |
第一生命保険 | 200(3.2) |
日軽ケイユー会 | 176(2.8) |
公益財団法人軽金属奨学会 | 149(2.4) |
朝日生命保険 | 127(2.0) |
みずほ銀行 | 112(1.8) |
DFAInt’lスモールキャップバリュP | 112(1.8) |
三井住友信託銀行 | 90(1.4) |
ステートストリートBウエストトリーティ505234 | 87(1.4) |
持株数では日本マスター信託口がトップです.日本2大信託銀行の一角ですね.
ほかには日本や海外の信託銀行,大手銀行や保険会社がランクインしています.
投資のプロである機関投資家が多くランクインしていることから,市場から一定の評価を得ていると考えてよいでしょう.
会社業績に関して
売上高

- 「会社がサービスや商品を提供することにより得た売上金額の総額」
- コロナショックで一旦は減少したものの回復の兆しあり
1株あたりの当期純利益(EPS)

- 「株主が投資した株式1株あたり会社がどれだけ利益を生み出しているか」
- 2020年3月期および2021年3月期はコロナショックと土砂除去による特別損失により大幅減少
- 2022年3月期には回復予想だが,土砂除去問題は未解決
営業利益率

- 「売上高に対し,本業の業績によってどれだけ利益を生み出しているか」
- 営業利益率は5%前後で安定
- 非鉄金属業界全体では約35社中13位(2021年度)と中堅
自己資本利益率(ROE)

- 「株主が投資した資金から会社がどれだけ効率良く利益を生み出しているか」
- コロナショック前は目安の10%に到達しており,同水準まで回復できるか
財務状況に関して
自己資本比率

- 「企業の総資産に対して,返済の必要のない自己資本がどれくらいあるか」
有利子負債比率

- 「自己資本に対して,利息を支払う必要がある負債がどれくらいあるか」
- 自己資本比率は40%前後
- 有利子負債比率は70〜80%
- ネットD/Eレシオは46.9%(2021年3月期)と健全
D/Eレシオとは,単に有利子負債比率を%ではなく倍率で表したもの.これをさらに厳密にしたのがネットD/Eレシオであり,有利子負債から現預金を引いたものを自己資本で割ったパーセンテージで表します.
例えば有利子負債が100億円あったとしても,現預金が100億円あればすぐに返済できるため,財務的には実質無借金と判断できます.
つまりネットD/Eレシオが低ければ低いほど,さらにマイナスであれば,それだけ財務健全性が高いと言えます.
キャッシュフローに関して

青:営業活動によるCF「営業活動で入ってきた現金から最終的に残った資金」
赤:フリーCF「負債の返済や株主配当,設備投資など会社が自由に使える資金」
橙:設備投資「会社が成長し続けるために必要な設備に対する投資」
緑:現金等「いざという時の事業拡大や不景気時のための資金」
- 営業活動によるCFは毎年しっかり黒字
- 設備投資に多額の資金投入
- ネットキャッシュは△896億円,ネットキャッシュ比率は△18%(2021年3月期)
ネットキャッシュとは,現預金と短期保有の有価証券の合計から有利子負債を引いたもの.実質的な手元資金であり企業の金持ち度合いを表します.ネットキャッシュが多い企業は株主還元を増やせる余地が大きいと考えられます.
また一般的にネットキャッシュを総資産で割ったネットキャッシュ比率が60%を超える企業をキャッシュリッチ企業と呼んでいます.
配当に関して
配当政策
配当政策に関しては2021年3月期の有価証券報告書に次のような記載があります.
当社の利益配分については、財務体質と経営基盤の強化を図りつつ、中長期的な視点から連結業績等を総合的に勘案し、株主への配当を実施することを基本方針としております。
利益配分の指標としては、自己株式の取得を含む総還元性向30%を基準とし、配当額等を決定いたします。
また、当社は、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを基本方針としております。
さらに、成長分野における事業拡大と、基盤ビジネス分野における需要創造・収益力拡大に向けた投資に加え、経営基盤の強化、研究開発や人財育成など将来に向けた事業展開に備えるため内部留保の確保を図り、企業価値の向上に努めております。
上記の点をふまえ、当事業年度の剰余金の配当については、1株当たり65円の期末配当を実施いたします。
当社は、会社法第454条第5項に規定する中間配当をすることができる旨を定款に定めております。剰余金の配当の決定機関は、期末配当については株主総会、中間配当については取締役会であります。
日本軽金属ホールディングスHP- 有価証券報告書・四半期報告書- 第9期有価証券報告書より
目標基準は総還元性向30%と示されていますが,個人的に理想的な水準ではありません.
一方で長期に渡り自社株買いをほとんど行なっていないため,総還元性向 ≒ 配当性向と考えれば妥当な水準と言えるでしょう.
総還元性向とは次のような数式で表される指標です.

配当性向と似ていますね.両者を比較してみましょう.

2つの違いは分子に自社株買い総額の項がある点です.自社株買いとは「企業が市場に流通する自社の株を買い戻すこと」です.
自社株買いをすると株式の流通量が減るため,利益自体は上昇せずとも一株あたりの当期純利益(EPS)が上昇します.EPSが上昇すると投資家からの成長を期待されるため株価が上昇しやすくなります.
つまり自社株買いを行い株価を上昇させることで,間接的に株主に還元している訳です.
権利確定日 2022年現在
権利付き最終日
この日までに株を購入(約定)すれば,配当金を貰う権利を取得できます.
期末配当金 | 2022年03月29日 |
---|---|
中間配当金 | 2022年09月28日 |
権利落ち日
この日以降に株を売却しても,配当金を貰う権利は取得したままです.
中間配当金 | 2022年03月30日 |
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期末配当金 | 2022年09月28日 |
権利確定日
この日に株を保有していれば,配当金を貰う権利を取得できます.
中間配当金 | 2022年03月31日 |
---|---|
期末配当金 | 2022年09月30日 |
一株配当

- 「株式1株あたりに支払われる配当金額」
- 2020年3月期まで連続増配していたものの,2021年3月期に大幅に減配
- 2022年3月期の予想配当は85円とほぼ回復
配当利回り

- 「株価に対して,どれだけ配当を受けることができるか」
- 配当利回り4%台と高水準
- 株価が割安で放置されている可能性あり
配当性向

- 「会社が生み出した利益に対して,配当金がどれだけ支払われたか」
- 売上高が減少した2020年期,2021年期は配当性向を上げて配当を維持
- 株主への還元意識は高そうな印象だが,キャッシュは少ないので無理をしていないか注意
配当性向に関しては以下の記事が参考になると思います.

PER・PBR
PER

- 「企業の利益水準に対して現在の株価が割高か割安か」
PBR

- 「現在の株価が企業の資産価値に対して割高か割安か」
2022年1月19日現在でPER 6.1倍,PBR 0.55倍,ミックス係数は3.36です.
かなり割安な水準であり,特にPERが低く業績悪化が懸念されます.
株主優待
日本軽金属ホールディングス(5703)は株主優待を出していません.
優待目的で投資する個人投資家は多いですが,私は株主還元はすべて現金で貰いたい派なので逆に好印象です.
総合評価
2021年3月期 | 値 | 目安 | 推移 |
売上高 | 432,568百万円 | – | ↗︎ |
EPS | 54.37円 | – | ↘︎ |
営業利益率 | 5.59% | 10%以上 | ↗︎ |
ROE | 1.76% | 10%以上 | ↘︎ |
自己資本比率 | 37.6% | 40%以上 | ↗︎ |
有利子負債比率 | 76.68% | 100%以下 | ↘︎ |
ネットD/Eレシオ | 46.9% | 低いほど○ | ↘︎ |
ネットキャッシュ比率(ネットキャッシュ) | △17.7%(△89,551百万円) | 60%以上 | ↗︎ |
営業CF | 41,942百万円 | – | + |
一株配当 | 65円 | – | ↗︎↘︎ |
配当性向 | 92.01% | 40%前後 | ↗︎ |
ここまで日本軽金属ホールディングス(5703)の銘柄分析をしてきましたが,ここで私の見解をポイントの形でまとめてみます.
- 財務状況の健全化が目標だが道のりは険しい
- 業績回復の予想だが楽観的な印象
- 度重なる不祥事は投資対象としてマイナス
- SDGsとは程遠い環境破壊を引き起こしている
これを踏まえて独断と偏見で日本軽金属ホールディングス(5703)を項目ごとに5段階評価してみます.
評価 | |
会社業績 | |
財務状況 | |
キャッシュフロー | |
配当 |
過去15年間の株価の値動き

日本軽金属ホールディングス(5703)の株価と日経平均株価を比較したチャートです.
「株価のチャート分析はおまじない」であり投資にあたり必要ないと思っています.チャート分析よりは企業分析の方がはるかに重要です.
ただ一時的な高騰時に高値つかみしないようにだけ注意しましょう.
まとめ
投資の世界には「卵は1つのカゴに盛るな」という格言があります.
高配当株投資では景気に左右されないように,セクターを分散したポートフォリオを組むことが重要です.
非鉄金属セクターで銘柄をお探しの方は日本軽金属ホールディングス(5703)への投資を検討してみてください!
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