
こんにちはー!もなでーす!!
今回紹介する銘柄は東証1部上場企業のトクヤマ(4043)です!

※株式投資は必ず個人の自己責任の下で行なってください.当ブログで得た情報により読者の皆様が被った不利益に対して,当管理者は一切の責任を負いません.
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また銘柄分析にはこちらの動画を参考にしつつ,自分なりの基準も追加して判断しています.
どんな会社? 2021/12/15時点
会社概要
決算 | 3月 |
---|---|
設立 | 1918.2 |
上場 | 1949.5 |
特色 | 半導体用シリコンの世界大手。塩ビ・苛性ソーダ、セメントなども。製品の大半を徳山で製造 |
連結事業 | 化成品28(17)、特殊品15(11)、セメント30(5)、ライフアメニティー15(7)、他12(10)【海外】21 <21・3> |
業種名 | 化学 |
本社 | 101-8618東京都千代田区外神田1-7-5フロントプレイス秋葉原 |
従業員 | <21.9>連5,610名 単2,303名(41.5歳)[年]735万円 |
株式 | 10/31 72,088千株 単位100株 [貸借][優待] 時価総額 1,371億円 |
東経業種別時価総額順位 | 化学 時価総額順位 34/156社 |
マネックス証券「銘柄スカウター」から引用します.
トクヤマ(4043)は化学メーカー.化成品(苛性ソーダ、塩化ビニルモノマー,塩化ビニル樹脂),セメント,電子材料(多結晶シリコン,ICケミカル,乾式シリカ),ライフサイエンス(ファインケミカル,フィルム),環境の各事業.社会インフラを支える創業のソーダ灰やセメントを基盤に,情報・電子分野(半導体用多結晶シリコン,高機能放熱材料),生活・医療分野(めがねレンズ材料,歯科材料,医薬原体・中間体),環境・エネルギー分野(太陽電池用の多結晶シリコン,資源環境)で事業展開.半導体・太陽電池に使用される高純度ポリシリコンは世界第2位の生産量.「アニオン膜型燃料電池用材料」「パワー半導体モジュール向け放熱材料の窒化ケイ素」「窒化アルミニウム単結晶ベースの深紫外固体発光素子」「高性能中性子線検出用シンチレータ材料」の開発を推進.血液検査システムのエイアンドティーを子会社に持つ.2013年セントラル硝子<4044>とソーダ灰事業で提携.2015年NICTと共同で世界最高出力の深紫外LED開発(2017年深紫外LED事業をスタンレー電気<6923>に譲渡).2021年東証JASDAQ上場のエイアンドティーを完全子会社化.
取扱商品
- 化成品(苛性ソーダ,ソーダ灰,塩化カルシウム,珪酸ソーダ,塩化ビニルモノマー.塩化ビニル樹脂,酸化プロピレン,イソプロピルアルコール,塩素系溶剤,水素)
- 電子材料(多結晶シリコン,乾式シリカ,四塩化珪素,窒化アルミニウム.電子工業用高純度薬品,フォトレジスト用現像液)
- セメント(ポルトランドセメント・高炉セメント・ダム用セメント,セメント系固化材,資源環境/資源リサイクル)
- ライフサイエンス(プラスチックレンズ関連材料,微多孔質フィルム,医薬品原薬・中間体,歯科器材,医療診断システム)
- 環境(イオン交換膜,樹脂サッシ,廃石膏ボードリサイクル)
トクヤマ(4043)は2008年に総額2100億円を投じてマレーシアに太陽電池用シリコンのプラント新設したものの,海外企業の参入により急速に供給過剰となり市況は暴落.
結局これを韓国企業に100億円弱で売却したため,約2000億円の減損損失を計上し赤字決算,財務状況が極めて悪化しました.
経営再建のため2015年春に経営陣を一新し,立て直しの真っ只中です.
大株主の属性とその構成比
株主名 | 持株数(万株)・持株比率(%) |
---|---|
日本マスター信託口 | 1,185(16.4) |
日本カストディ信託口 | 363(5.0) |
日本生命保険 | 217(3.0) |
山口銀行 | 164(2.2) |
明治安田生命保険 | 148(2.0) |
双日 | 129(1.7) |
自社従業員持株会 | 123(1.7) |
住友金属鉱山 | 118(1.6) |
東京海上日動火災 | 110(1.5) |
クレディ・スイス証券 | 99(1.3) |
持株数では日本マスター信託口がトップです.ほかには信託銀行や大手保険会社がランクインしていますね.
投資のプロである機関投資家が多くランクインしていることから,市場から一定の評価を得ていると考えてよいでしょう.
会社業績に関して
売上高

- 「会社がサービスや商品を提供することにより得た売上金額の総額」
- 長期的に見てゆるやかな浮き沈み
1株あたりの当期純利益(EPS)

- 「株主が投資した株式1株あたり会社がどれだけ利益を生み出しているか」
- “マレーシアショック”によりマイナスに転じている
- 2017年度以降はEPS 300円前後で安定しつつある
営業利益率

- 「売上高に対し,本業の業績によってどれだけ利益を生み出しているか」
- 波はあるが営業利益率は10%前後を維持
- 化学業全体では約200社中47位(2021年度)
自己資本利益率(ROE)

- 「株主が投資した資金から会社がどれだけ効率良く利益を生み出しているか」
- “マレーシアショック”以降,直近5期は目安の10%を上回っている
財務状況に関して
自己資本比率

- 「企業の総資産に対して,返済の必要のない自己資本がどれくらいあるか」
有利子負債比率

- 「自己資本に対して,利息を支払う必要がある負債がどれくらいあるか」
- 自己資本比率は50%前後まで上昇傾向
- 有利子負債比率は40%台と高いものの減少傾向
- ネットD/Eレシオは12.2%(2021年3月期)と健全
- “マレーシアショック”以降,急速に財務状況の健全化が進んでいる
D/Eレシオとは,単に有利子負債比率を%ではなく倍率で表したもの.これをさらに厳密にしたのがネットD/Eレシオであり,有利子負債から現預金を引いたものを自己資本で割ったパーセンテージで表します.
例えば有利子負債が100億円あったとしても,現預金が100億円あればすぐに返済できるため,財務的には実質無借金と判断できます.
つまりネットD/Eレシオが低ければ低いほど,さらにマイナスであれば,それだけ財務健全性が高いと言えます.
キャッシュフローに関して

青:営業活動によるCF「営業活動で入ってきた現金から最終的に残った資金」
赤:フリーCF「負債の返済や株主配当,設備投資など会社が自由に使える資金」
橙:設備投資「会社が成長し続けるために必要な設備に対する投資」
緑:現金等「いざという時の事業拡大や不景気時のための資金」
- 営業活動によるCFは毎年きっちり黒字
- 直近5年はおおむね一定の資金を設備投資に投入
- ネットキャッシュは△248億円,ネットキャッシュ比率は△6.4%(2021年3月期)
ネットキャッシュとは,現預金と短期保有の有価証券の合計から有利子負債を引いたもの.実質的な手元資金であり企業の金持ち度合いを表します.ネットキャッシュが多い企業は株主還元を増やせる余地が大きいと考えられます.
また一般的にネットキャッシュを総資産で割ったネットキャッシュ比率が60%を超える企業をキャッシュリッチ企業と呼んでいます.
配当に関して
配当政策
配当政策に関しては2020年度の有価証券報告書に次のような記載があります.
利益配分につきましては、株主の皆様への継続的な安定配当を基本としつつ、業績、配当性向及び中長期事業計画等を勘案して実施することを基本方針としております。また、内部留保につきましては、事業リスクを考慮した健全な財務体質の確立と、更なる企業価値向上のための将来に向けた設備投資・投融資に充当していきます。
当社の刺余金の配当は、中間配当及び期末配当の年2回を基本的な方針としております。配当の決定機関は、期末配当は株主総会、中間配当は取締役会です。なお、中間配当については、会社法第454条第5項の規定に基づき、取締役会の決議を以って行うことができる旨を定款に定めています。
トクヤマHP- 有価証券報告書- 有価証券報告書(第157期)より
最低限の配当額や目標とする配当性向が明記されていません.
多額の設備投資が必要な事業であり,財務状況もまったくの堅実とはまだ言えない状況なので,配当額や配当性向を引き上げることは難しいかもしれません.
権利確定日 2022年現在
権利付き最終日
この日までに株を購入(約定)すれば,配当金を貰う権利を取得できます.
期末配当金 | 2022年3月29日 |
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中間配当金 | 2022年9月28日 |
権利落ち日
この日以降に株を売却しても,配当金を貰う権利は取得したままです.
期末配当金 | 2022年3月30日 |
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中間配当金 | 2022年9月29日 |
権利確定日
この日に株を保有していれば,配当金を貰う権利を取得できます.
期末配当金 | 2022年3月31日 |
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中間配当金 | 2022年9月30日 |
一株配当

- 「株式1株あたりに支払われる配当金額」
- 巨額赤字の年度は無配にまで至っており,配当が業績に左右されやすい
- 2022年3月期の予想配当は70円と維持
配当利回り

- 「株価に対して,どれだけ配当を受けることができるか」
- 無配期間を乗り越えて配当利回り3%台まで上昇
配当性向

- 「会社が生み出した利益に対して,配当金がどれだけ支払われたか」
- 配当性向20%台ともう少し出してほしい水準
配当性向に関しては以下の記事が参考になると思います.

PER・PBR
PER

- 「企業の利益水準に対して現在の株価が割高か割安か」
PBR

- 「現在の株価が企業の資産価値に対して割高か割安か」
2022年1月21日現在でPER 5.97倍,PBR 0.64倍,ミックス係数は3.82です.
過去10年間の推移の中で割安な時期であり購入OKですね.
株主優待
トクヤマ(4043)は株主優待を出していません.
優待目的で投資する個人投資家は多いですが,私は株主還元はすべて現金で貰いたい派なので逆に好印象です.
総合評価
2021年3月期 | 値 | 目安 | 推移 |
売上高 | 302,407百万円 | – | → |
EPS | 351.1円 | – | ↗︎ |
営業利益率 | 10.22% | 10%以上 | ↗︎ |
ROE | 12.36% | 10%以上 | ↗︎ |
自己資本比率 | 51.3% | 40%以上 | ↗︎ |
有利子負債比率 | 47.12% | 100%以下 | ↘︎ |
ネットD/Eレシオ | 12.2% | 低いほど○ | ↘︎ |
ネットキャッシュ比率(ネットキャッシュ) | △6.4%(△24,786百万円) | 60%以上 | ↗︎ |
営業CF | 43,314百万円 | – | + |
一株配当 | 70円 | – | ↗︎ |
配当性向 | 19.84% | 40%前後 | → |
ここまでトクヤマ(4043)の銘柄分析をしてきましたが,ここで私の見解をポイントの形でまとめてみます.
- “マレーシアショック”により崩壊した財務状況を急速に立て直し
- 業績はコロナショックの影響を最小限に抑えながらV字回復
- 国内だけでなく世界シェアを取れる高い技術力は健在
- 成長分野である半導体関連やヘルスケア領域を得意としている
これを踏まえて独断と偏見でトクヤマ(4043)を項目ごとに5段階評価してみます.
評価 | |
会社業績 | |
財務状況 | |
キャッシュフロー | |
配当 |
過去15年間の株価の値動き

トクヤマ(4043)の株価と日経平均株価を比較したチャートです
「株価のチャート分析はおまじない」であり投資にあたり必要ないと思っています.チャート分析よりは企業分析の方がはるかに重要です.
ただ一時的な高騰時に高値つかみしないようにだけ注意しましょう.
まとめ
投資の世界には「卵は1つのカゴに盛るな」という格言があります.
高配当株投資では景気に左右されないように,セクターを分散したポートフォリオを組むことが重要です.
化学セクターで銘柄をお探しの方はトクヤマ(4043)への投資を検討してみてください!
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