
こんにちはー!もなでーす!!
今回紹介する銘柄は東証1部上場企業の昭和電工(4004)です!

※株式投資は必ず個人の自己責任の下で行なってください.当ブログで得た情報により読者の皆様が被った不利益に対して,当管理者は一切の責任を負いません.
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また銘柄分析にはこちらの動画を参考にしつつ,自分なりの基準も追加して判断しています.
どんな会社? 2021/12/15時点
会社概要
決算 | 12月 |
---|---|
設立 | 1939.6 |
上場 | 1949.5 |
特色 | 電炉用黒鉛電極首位。石油化学、ハードディスク外販、電子材料用ガス、アルミなど事業幅広い |
連結事業 | 石油化学19(3)、化学品15(9)、エレクトロニクス10(9)、無機8(-39)、アルミニウム8(0)、SDMC30(-2)、他11(1)【海外】45 <20・12> |
業種名 | 化学 |
本社 | 105-8518東京都港区芝大門1-13-9 |
従業員 | <21.6>連32,373名 単3,561名(40.2歳)[年]794万円 |
株式 | 10/31 184,901千株 単位100株 [貸借] 時価総額 5,049億円[225] |
東経業種別時価総額順位 | 化学 時価総額順位 14/156社 |
マネックス証券「銘柄スカウター」から引用します.
昭和電工(4004)は総合化学大手.石油化学(オレフィン・有機化学品),化学品(ガス・薬品・化学品),エレクトロニクス(電子機能材,デバイス,電池材料),無機(黒鉛電極,セラミックス),昭和電工マテリアルズ製品の製造販売.石油化学・無機化学・有機化学からカーボン・セラミックス・ハードディスクメディア,エレクトロニクス材料まで手がける化学系素材メーカー.主力の垂直磁気記録方式のハードディスク,黒鉛電極,半導体用高純度ガスは世界トップ.半導体プロセス材料,光機能材料,高機能ゲル,次世代パワー半導体材料(SiCエピタキシャルウェハー),ダブルジャンクション反射型LEDに注力.傘下に昭和電工マテリアルズ(旧日立化成)を持つ.2015年ウエアラブル端末向け銀ナノワイヤを量産化.2017年先端電池材料事業部を新設,独SGLカーボン社から黒鉛電極事業を買収.2018年日本製鉄グループからパワー半導体用SiCに関する関連資産を譲受.2019年次世代記録技術(MAMR)対応のHDメディアの出荷を開始,TOBにより日立化成(現昭和電工マテリアルズ)を子会社化.2020年リチウムイオン電池の負極材事業から撤退.2021年アルミニウム事業,昭和電工マテリアルズの鉛蓄電池・セラミックス事業を売却.
昭和電工は2020年10月に日立グループの御三家と言われた日立化成に9640億円を投じて連結子会社に組み入れました.この買収額は2019年12月期の売上高を上回っており,2020年12月期には最終損益763億円の赤字となっています.償却期間は20年間であり,この先も年間366億円程度の償却負担が続くと予測されています.
このような財務内容の悪化のため,今後総計で2000億円相当の事業を売却する方針であり,これに伴う業績の変動について注視していく必要がありそうです.
取扱商品
- 石油化学(オレフィン部/エチレン・プロピレン,有機化学品部/アセトアルデヒド・酢酸・酢酸ビニル・酢酸エチル・酢酸プロピル・アリルアルコール)
- 化学品(産業用ガス,工業薬品,高機能化学品,エラストマー製品,高純度ガス・薬品,樹脂複合製品)
- 無機(黒鉛電極,カーボン製品,セラミックス製品/研磨材・研削材・耐火材)
- エレクトロニクス(ハードディスク,パワー半導体用SiCエピウェハ,超高輝度・高出力LED,モーター用レアアース磁石合金,リチウムイオン電池材料/人造黒鉛・半導体用封止材)
- 電子材料(半導体用材料,ディスプレイ・タッチパネル関連材料,機能性フィルム),樹脂材料(樹脂材料,接着剤・テープ,電気絶縁材料),配線板材料
- 昭和電工マテリアルズ 製品(半導体用材料,ディスプレイ・センサー関連材料,基板材料,感光性材料,機能性フィルム,樹脂材料,カーボン製品・セラミックス,接着剤)
大株主の属性とその構成比
株主名 | 持株数(万株)・持株比率(%) |
---|---|
日本マスター信託口 | 1,156(7.7) |
日本カストディ信託口 | 734(4.9) |
コリア・セキュリティーズ・デポジトリー・サムスン | 701(4.6) |
ノルウェー政府 | 522(3.4) |
富国生命保険 | 451(3.0) |
自社(自己株口) | 355(2.3) |
オーエム04・エスエスビー・クライアントオムニバス | 286(1.9) |
第一生命保険 | 270(1.8) |
明治安田生命保険 | 251(1.6) |
日本カストディ信託口7 | 250(1.6) |
持株数では日本マスター信託口がトップです.ほかには信託銀行や大手保険会社がランクインしています.
投資のプロである機関投資家の持株比率が高いことから市場から一定の評価を得ていると考えられます.
また自社(自己株口)が大株主であり長期に渡り業績も好調を維持しようとすると考えられます.
会社業績に関して
売上高

- 「会社がサービスや商品を提供することにより得た売上金額の総額」
- M&Aにより売上高は右肩上がり
1株あたりの当期純利益(EPS)

- 「株主が投資した株式1株あたり会社がどれだけ利益を生み出しているか」
- M&Aによる減価償却が響きマイナスへ
営業利益率

- 「売上高に対し,本業の業績によってどれだけ利益を生み出しているか」
- M&A前の営業利益率10%オーバーまで回復できるか
自己資本利益率(ROE)

- 「株主が投資した資金から会社がどれだけ効率良く利益を生み出しているか」
- M&A前の10%オーバーまで回復できるか
財務状況に関して
自己資本比率

- 「企業の総資産に対して,返済の必要のない自己資本がどれくらいあるか」
有利子負債比率

- 「自己資本に対して,利息を支払う必要がある負債がどれくらいあるか」
- 自己資本比率は40%後半まで上昇傾向だったが,M&Aにより逆戻り
- 有利子負債比率は低下傾向だったが,M&Aにより逆戻り
- ネットD/Eレシオは115.7%(2021年12月期)とやや高い
D/Eレシオとは,単に有利子負債比率を%ではなく倍率で表したもの.これをさらに厳密にしたのがネットD/Eレシオであり,有利子負債から現預金を引いたものを自己資本で割ったパーセンテージで表します.
例えば有利子負債が100億円あったとしても,現預金が100億円あればすぐに返済できるため,財務的には実質無借金と判断できます.
つまりネットD/Eレシオが低ければ低いほど,さらにマイナスであれば,それだけ財務健全性が高いと言えます.
キャッシュフローに関して

青:営業活動によるCF「営業活動で入ってきた現金から最終的に残った資金」
赤:フリーCF「負債の返済や株主配当,設備投資など会社が自由に使える資金」
橙:設備投資「会社が成長し続けるために必要な設備に対する投資」
緑:現金等「いざという時の事業拡大や不景気時のための資金」
- 営業活動によるCFがきっちり黒字
- ネットキャッシュは△5958億円,ネットキャッシュ比率は△28%(2021年12月期)
ネットキャッシュとは,現預金と短期保有の有価証券の合計から有利子負債を引いたもの.実質的な手元資金であり企業の金持ち度合いを表します.ネットキャッシュが多い企業は株主還元を増やせる余地が大きいと考えられます.
また一般的にネットキャッシュを総資産で割ったネットキャッシュ比率が60%を超える企業をキャッシュリッチ企業と呼んでいます.
配当に関して
配当政策
配当政策に関しては2020年12月期の有価証券報告書に次のような記載があります.
当社は、配当の実施を株主各位に対する重要な責務と考えており、配当については、各事業年度の収益状況及び今後の事業展開に備えるための内部留保を勘案し決定することを基本としている。
内部留保については、成長事業の育成加速など利益の持続的拡大につながる設備投資や研究開発投資及び財務体質の改善に充当していく。
当社は、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを基本方針としており、これらの剰余金の配当の 決定機関は、期末配当については株主総会、中間配当については取締役会である。
当社は、「取締役会の決議により、毎年6月30日を基準日として中間配当をすることができる。」旨を定款に定めている。
当事業年度については、営業成績及び今後の事業競争力と財務体質強化等を勘案し、2020年6月30日を基準日とする中間配当は無配としたが、同12月31日を基準日とする1株につき65円の配当を実施することとした。
昭和電工HP- 有価証券報告書- 2020年12月期 有価証券報告書より
配当については「内部留保を勘案し決定する」と抽象的な表現をしており,具体的な数字(配当下限や目標配当性向)を示していません.
なお,2021年12月15日に発表された個人投資家向け説明会資料には,株主還元方針として次のような記載がありました.
中長期的な株主還元方針
• 当面は借入金返済を進めてネットD/Eレシオを1.0倍に近づけることと成長事業への投資を優先し、その間は可能な限りでの安定配当に努める
• 中期的にネットD/Eレシオを1.0倍に近づけ、一定の事業成長を成し遂げた後、あらためて総還元性向30%を目指す
2021年12月15日「昭和電工の今そしてこれから~世界トップクラスの機能性化学メーカー実現へ」
「ネットD/Eレシオを1.0倍」は2021年12月期に概ね達成されており,「総還元性向30%」もそれほど高い水準ではないため,今後はもう少し高い目標の設定を期待したいです.
総還元性向とは次のような数式で表される指標です.

配当性向と似ていますね.両者を比較してみましょう.

2つの違いは分子に自社株買い総額の項がある点です.自社株買いとは「企業が市場に流通する自社の株を買い戻すこと」です.
自社株買いをすると株式の流通量が減るため,利益自体は上昇せずとも一株あたりの当期純利益(EPS)が上昇します.EPSが上昇すると投資家からの成長を期待されるため株価が上昇しやすくなります.
つまり自社株買いを行い株価を上昇させることで,間接的に株主に還元している訳です.
権利確定日 2022年現在
権利付き最終日
この日までに株を購入(約定)すれば,配当金を貰う権利を取得できます.
期末配当金 | 2022年06月28日 |
---|---|
中間配当金 | 2022年12月28日 |
権利落ち日
この日以降に株を売却しても,配当金を貰う権利は取得したままです.
中間配当金 | 2022年06月29日 |
---|---|
期末配当金 | 2022年12月29日 |
権利確定日
この日に株を保有していれば,配当金を貰う権利を取得できます.
中間配当金 | 2022年06月30日 |
---|---|
期末配当金 | 2022年12月30日 |
一株配当

- 「株式1株あたりに支払われる配当金額」
- 赤字に伴い2020年12月期は130円から65円に減配
- 2022年12月期の予想配当は65円と維持
配当利回り

- 「株価に対して,どれだけ配当を受けることができるか」
- 配当利回り3%オーバーまで回復できるか
配当性向

- 「会社が生み出した利益に対して,配当金がどれだけ支払われたか」
- 配当性向は時期によってバラバラで,配当額自体を維持したそうな印象
配当性向に関しては以下の記事が参考になると思います.

PER・PBR
PER

- 「企業の利益水準に対して現在の株価が割高か割安か」
PBR

- 「現在の株価が企業の資産価値に対して割高か割安か」
2022年2月18日現在でPER 15.65倍,PBR 0.82倍,ミックス係数は12.83です.
過去10年間の推移を見るとやや割安な水準であり,購入してもよいタイミングですね.
株主優待
昭和電工(4004)は株主優待を出していません.
優待目的で投資する個人投資家は多いですが,私は株主還元はすべて現金で貰いたい派なので逆に好印象です.
総合評価
2021年12月期 | 値 | 目安 | 推移 |
売上高 | 1,419,600百万円 | – | ↗︎ |
EPS | △77.4円 | – | ↘︎↗︎ |
営業利益率 | 6.14% | 10%以上 | ↘︎↗︎ |
ROE | 赤字 | 10%以上 | ↘︎↗︎ |
自己資本比率 | 24% | 40%以上 | ↘︎↗︎ |
有利子負債比率 | 161.63% | 100%以下 | ↗︎↘︎ |
ネットD/Eレシオ | 115.7% | 低いほど○ | ↗︎↘︎ |
ネットキャッシュ比率(ネットキャッシュ) | △27.8%(△595,818百万円) | 60%以上 | ↘︎↗︎ |
営業CF | 115,830百万円 | – | + |
一株配当 | 65円 | – | ↗︎ |
配当性向 | 赤字 | 40%前後 | → |
ここまで昭和電工(4004)の銘柄分析をしてきましたが,ここで私の見解をポイントの形でまとめてみます.
- M&Aで財務状況は悪化したが,事業の切り売りや右肩上がりの業績で補填
- 総合化学会社であり石油化学や化学品は大きなセグメントを占める安定した収益源
- エレクトロニクス等の先端分野の材料も成長している
- 元日立化成が得意とする半導体等の情報通信分野にも事業拡大
これを踏まえて独断と偏見で昭和電工(4004)を項目ごとに5段階評価してみます.
評価 | |
会社業績 | |
財務状況 | |
キャッシュフロー | |
配当 |
過去15年間の株価の値動き

昭和電工(4004)の株価と日経平均株価を比較したチャートです.
「株価のチャート分析はおまじない」であり投資にあたり必要ないと思っています.チャート分析よりは企業分析の方がはるかに重要です.
ただ一時的な高騰時に高値つかみしないようにだけ注意しましょう.
まとめ
投資の世界には「卵は1つのカゴに盛るな」という格言があります.
高配当株投資では景気に左右されないように,セクターを分散したポートフォリオを組むことが重要です.
化学セクターで銘柄をお探しの方は昭和電工(4004)への投資を検討してみてください!
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